月と星たちの語りべ

2025
273 x 190 mm
Acrylic on canvas

月と星たちの語りべ

夜空に浮かぶ三日月と、優しく瞬く無数の星たち。
その光が静かに降り注ぐ丘の上で、パンダはうつ伏せになって目を閉じています。
背中には大好きな子犬がそっと乗っていて、小さな体温がじんわりと伝わってきます。

今夜のパンダは、少しだけ寂しそう。
大切だった人、共に過ごした日々、笑い合った声、別れの瞬間……
たくさんの思い出が胸の奥から次々とあふれてきて、
「人生って、いったい何だったんだろう」と、静かに問いかけています。

答えはまだ見つからない。
でも、月は黙って微笑み、星たちは優しく瞬き続けます。
まるで「大丈夫だよ」「そのままでいいんだよ」と、
遠くからそっと語りかけてくれるように。

温かな子犬の重みと、夜空の光に包まれて、
パンダの心は少しずつ溶けていきます。
答えは言葉じゃなくて、ただこの瞬間、この温もり、この光の中に、
静かに、確かに在るのかもしれない──

そんな気がして、
パンダは小さく息を吐いて、
星空の下で、ただ今を生きていることに、
そっと感謝しました。

この絵を深掘りして解説すると・・・

ある夜、パンダは丘の上で「人生って、いったい何だろう?」と問いかけました。
それはきっと、あなたや私も一度は抱いたことのある、静かで大きな問いです。

答えを探そうとすると、頭の中はすぐに「成功」「お金」「幸せ」「愛」といった言葉でいっぱいになります。
でも、どれもピタッと腑に落ちない。
頑張ったのに虚しいとき、愛したのに失ったとき、人はふと立ち止まって同じことを考えるものです。

そんなとき、パンダが感じたのは、たった二つのことでした。

  1. 背中に乗っている子犬の小さな温もり
  2. 遠くで瞬く月と星の光

それだけです。

言葉にすると、すごくシンプルです。
でも、この二つこそが、人生の本当の答えに一番近いものかもしれない。

  • 子犬の温もりは「今ここにいる誰かとのつながり」
  • 月と星の光は「自分を見守ってくれている大きな存在」

どちらも、頑張って手に入れるものじゃない。
追いかけてもつかめない。
ただ、そっとそこに「在ってくれる」もの。

人生の意味は、遠くにあるゴールじゃない。
すごいことを成し遂げることでもない。
「今、この瞬間」に感じる小さな温かさと、
「自分は一人じゃない」とほっとさせてくれる光の中に、
静かに息づいている。

だから、答えに焦らなくていい。
完璧じゃなくていい。
泣いたっていい。
ただ、背中に乗ってくれる誰かの重みを、
空に瞬く光を、ちゃんと「感じる」ことができれば、
それで十分、生きている意味はちゃんとある。

月は語らないけど、いつもそこにいてくれる。
星は小さくても、決して消えたりしない。

あなたが「人生って何?」とつぶやく夜が来ても、
どうか安心して、そっと息を吐いてください。
温もりはすぐそばにあって、
光はいつもあなたを見守っていますから。